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セーブ・ザ・チルドレンへの支援

2022年(SC)の活動報告

ウガンダ国カセセ県における生計向上支援と母子の栄養改善事業の完了報告

1.事業対象地の子どもたちを取り巻く課題

ウガンダでは、国民の69%が農業に従事しており、農業が同国GDPの23%を占めています。  これを背景に、同国政府の「国家開発計画」では農業を経済開発の中心セクターの一つとして、その成長を推進してきました。特に農業産業化及び農業競争力の強化を挙げ、国民の食料安全保障向上を推進するとしています。一方で、人口一人当たりのGNIは、世界192か国中178位(780米ドル)に位置し、一人当たりの所得が極めて低いことが深刻な課題でもあります。

上記の所得水準が低いことにより、特に農村地域の母子の保健サービスへのアクセスや栄養不良の状況は依然として厳しい状態にあります。5歳未満の子どもの発育阻害(身長が年齢相応の標準値に満たない慢性的な栄養不良)は29%であり、最低食事水準 を満たす乳幼児の割合は14%に留まっています。また、鉄分不足により、6か月以上5歳未満の子どもの53%、15-49歳の女性の32%が貧血です 。乳幼児期の低栄養は、身体機能だけでなく、認知機能や学習能力の低下に繋がり、妊娠可能年齢女性の低栄養は妊娠した際の胎児の発育を妨げる大きな要因の一つとなっています 。

2.本事業の目的

本事業では、ウガンダ西部地域の中でも栄養不良の割合が他と比較して高いカセセ県の母子を支援の対象とし、地域の保健医療施設での栄養啓発の活動を促進する他、農家の生産力や農業の知識向上に向けた支援活動に取り組んでいます。また、サラヤではこれまで10年間以上に渡り、ウガンダにおける「100万人の手洗いプロジェクト」を実施してきました。とりわけ、新型コロナウイルス感染症の影響がある中、普段にも増して、手洗いの励行及び衛生環境の保持が強く推奨されています。これまでの取り組みがウガンダでさらに根付くよう、本事業では受益者や保健医療施設に対して、衛生用品(手指消毒剤)を積極的に導入し、その使用を進めてきました。

3.活動報告と主な成果

活動(1)生計向上分野:農業普及員および農家世帯への研修、農家組合の能力強化

前年度の活動と同様、カセセ県農業局の農業普及員(50名)に対する研修(家畜の簡易研修も含む)から始めました。その後普及員は各自が担当する農家を回りながら研修内容を伝えていき、さらに農家が上手く活動できているか定期的に確認しに行くという方法を取ることによって、農家世帯と普及員の連携を強化しました。普及員はこれまでの経験を活かしながら、より効果的、効率的に農家を指導できるようになっています。本年の活動で選ばれた200世帯の農家は、農業普及員から研修内容を伝えられるまではこれまで同様、雨季になったら種を蒔いて、育ったら収穫する、雑草や害虫には注意を払ってきませんでした。普及員の指導を受け、実際、教わったとおりに、バナナ、キャッサバ、豆、メイズ(とうもろこし)等を植え、栽培を試みた農家からは「以前は自己流でメイズを栽培し、収穫できるのが3袋のみでしたが、今や25袋も採れるようになりました。おかげで、自宅の倉庫に十分保存しながら、市場でも販売することができ、現金収入が大幅に増えました。」、「今まで栄養を摂ることが重要だということも知りませんでした。家庭菜園を作るよう勧められて、ナス、トマト、(アフリカ)ほうれん草、玉ねぎを栽培していますが、収穫後に食卓に並ぶのが本当に嬉しいです。野菜を食べる前は子どもらの体調が優れませんでしたが、今は健康で以前のようにしょっちゅう町の保健医療施設に連れて行くことがなくなりました。」といった声があがっています。


農法指導を受けてメイズを大量に収穫できるようになった農家ら

また、200世帯の農家を20世帯ずつ10のグループに分け、組合を作ることによって、作物の栽培で得た知見を意見交換したり、皆で資金を出し合い、組合として貯蓄を開始したりするなど家計を強化することにも取り組んでいます。組合で貯めている資金は、組合員である農家世帯が必要な時に借り入れ、農機具や種、あるいは養鶏用の鶏等を購入するのに活用しています。


農家を指導する農業普及員

本年度事業で特筆すべき点は、カセセ県に2ヶ所、魚(ティラピア)の養殖場を建設できたことです。2021年第2四半期報告でお伝えしましたとおり、同年10月に土地の掘削(全て住民による手掘り)を開始した後、あぜを整え、注水口・排水口を設置しました。また、池の周りにフェンスを張ったり、鳥などが魚を捕食しないよう水面上部にネットを張ったり、安全面にも留意しました。そしてやっと、本年6月に稚魚を放流し、以降の成長を見守っています。9月中旬段階で、10~13 cmに生育しており、12月頃に漁獲できる見込みです。村人から多くの感謝の声が届いていますので、以下にご報告します。

「私は自分の村の村長を務めていますが、魚の養殖は長年の夢でした。自分たちの貯蓄だけではとても建設できる規模ではなく、今回いただいたご支援に心から感謝しています。土地の所有者から土地を借りる交渉から始めて、草木を伐採し、池を掘るまで全て自分たちの手で行いました。特に土地を借りる際は所有者に40万シリング(105米ドル)を支払う必要がありましたので、自分たちが育ててきたトマトやナスなどの野菜を売って資金を作りました。稚魚は順調に育っていて12月頃に水揚げできる予定です。今から待ち遠しいです。」(ニャキユンブ準郡 農家男性)

魚の成長度合いを確認する農家と当会職員

活動(2)母子の栄養改善分野:保健医療施設職員への研修、母親らへの栄養指導

ウガンダ政府は、『ウガンダ栄養行動計画II(2020-25)』を策定し、栄養摂取を推奨しています。首都圏では保健や健康に対する人々の意識は高まってきていますが、地方ではさらなる啓発活動を継続していく必要があります。本事業では、カセセ県対象3準郡の保健医療施設職員らおよび同地域の保健ボランティアチームに母子の栄養摂取の概念を理解してもらい、地元の村人に知識を伝えていくよう活動を進めてきました。


重度の急性栄養失調で病院に紹介された乳児。 母親は母乳が出ない状態。

生計向上支援と同じく、同職員とボランティアは3年目の研修を受け、彼らの栄養に対する理解と母子への指導は年々効果の高いものとなっています。例えば、三色食品群に関して、「赤(タンパク質)」は体を作るもの(肉、魚、卵、牛乳など)、「黄(炭水化物)」はエネルギーのもとになるもの(マトケ、ポショ、いも類など)、「緑(ビタミン、ミネラル)」は体の調子をととのえるもの(野菜など)、この3つの色をまんべんなく摂ることで、バランスの良い食事になることを指導しています。子どもの両親に伝える際は、口頭で説明してもなかなか理解しづらい点があり、これら食品の絵を自分たちで自発的に描いて説明したり、実際の食品を用意して紹介したりするようになっています。また、普段、ほぼ炭水化物類のみしか食べない世帯では、野菜や肉を見てもどのように調理するのか分からないという声も聞かれ、調理実演・実習も活動に取り込み始めました。


サラヤ寄贈のテント内で栄養健診を受ける幼児

「今、二人目の子が2か月なのですが、自分の母乳の出が悪く、一人目の子の時は4か月くらいからお粥を与えていました。しかし、ここの保健施設で栄養カウンセリングを受けた時に、6か月までは母乳のみで良い、また自分が栄養を摂らないとしっかり母乳が出ないことを学びました。今まで色々な食材を食べることがなかったので、野菜や肉を用意してもどのようにして料理すれば良いのか分かりませんでしたが、施設で食材・調理実演をしてくれたので自宅で挑戦しようと思います。」(マリバ準郡 女性)

食材を並べ、食品群と栄養素の説明を行う保健職員。