トップコミットメント
平和な時代に向けて、ビジネスの役割
(1)ポスト万博と平和な世界、持続可能な未来へ!
2025年、大阪・関西万博が終了しました。当社もNPO法人ZERI JAPANが出展する「BLUE OCEAN DOME」のパビリオンパートナーを務めました。万博では、158の国と地域、7つの国際機関が参加し、大屋根リングの下で、多様性を認め合いながらも、持続可能な地球と社会の実現を目指し、平和に、そして楽しく6ヶ月を過ごしました。ポスト万博には、このレガシーを伝えたいと思います。
しかし、現実社会においては、戦争が止まず、対立と分断が起こり、格差の拡大も緊張を生んでいます。我々ビジネスに携わる者たちは、ビジネスを通じてお互いの理解を深め、平和に、また持続可能に仕事を考え、行動し、グローバルな問題にも微力ながら対応していきたいと思います。
一部のビジネスでは、利益獲得偏重のあまり、持続可能性への配慮が欠ける場合も見受けられます。サラヤのビジネスにおいては、そのようなことを避けるため、できるだけお客様や関係先などの意見も取り入れ、気づきを深め、ビジネスを通じて、「世界の衛生・環境・健康の向上に貢献する」ことを目指します。
(2)衛生ビジネスの発展
2020年には、コロナウイルスによるパンデミックが発生し、世界的に手指消毒や衛生が大きく普及しました。
ポストコロナでは、その反動による需要の激減により、世界の各メーカーは在庫調整に苦慮し、リフォームを行いました。しかし、2026年にはコンゴ民主共和国でエボラ出血熱が大規模に発生するなど、リスクは常に潜在しています。パンデミックリスクはいつ起こるかわかりません。そこで常にその状況に備える心構えは、大変重要です。
サラヤでは、衛生の基本となる手指消毒の薬剤やディスペンサーの開発に加え、公衆衛生、食品衛生、医療衛生の分野において、洗浄・消毒・滅菌や環境対応、HACCPの推進など、研究開発を怠らず進め、世界への普及を目指します。
2010年より、ウガンダやケニアなど東アフリカの国々で、公衆衛生や医療衛生の観点から「手洗い事業」を推進しています。
さらに、2026年度からは、顧みられない熱帯病(NTD:Neglected Tropical Diseases)の一種、スナノミ症に対して治療ローションを開発し、普及活動を始めました。この病気は、農村部などで靴を買えない貧しい人々、特に子供たちが裸足で歩くことから、スナノミ(Tunga penetrans)というノミが皮膚に寄生することで起こる感染症です。
その治療は、サラヤが開発したスナノミローションを、患部に1週間に2回、2週間塗布する用法です。地方で発生しているため、薬が届かない、十分な認知や知識がなく、対応ができていない、また、貧困層が多く、薬が普及しにくい、などの現実があり、課題は山積しています。その普及のため、課題を突破し、多くの罹患した方々を救いたいと考えています。
この治療薬はサラヤのウガンダの工場で製造されており、現在ケニアでは治療イベントなどで使用されています。
日本や世界の皆さまにもご理解をいただき、普及にご協力をいただきたく存じます。
(3)環境事業の発展
ヤシの実由来の洗浄成分を採用した「ヤシノミ洗剤」は、1971年から販売を開始し、今年で55周年を迎えました。当時は、石油系の合成洗剤が主流でしたが、当社では植物由来の界面活性剤を用いて、展開しました。
その後、1990年代に糖と植物油を原料に、天然酵母による 「発酵技術」で微生物が生み出す天然の界面活性剤「SOFORO」を開発し、「ハッピーエレファント」というブランドを立ち上げ、販売しています。
天然の界面活性剤SOFOROは高い安全性と優れた環境性能を持つため、ボディソープなどの洗浄剤をはじめ、化粧品や細胞保存液といった製品にまで、幅広く活用されています。
今後は、これらをさらにグローバルブランドへ育てていきます。
また、マレーシア・ボルネオ島で生物多様性保全の取組みにおいて、ヤシノミ洗剤等の対象商品の売上(メーカー出荷額)の1%を寄付し、ボルネオ保全トラストおよび、ボルネオ保全トラスト・ジャパンなどの団体と協働して活動を続けています。
関連会社である株式会社 関西再資源ネットワークは、イギリスにおいて食品廃棄物や農業廃棄物から発酵によりメタンを生成し、一部を電力に変換し、イギリスの固定価格買取制度(FIT制度)に沿った販売、燃料としてボンベに充填し、活用しています。そこでは、約2600世帯の電力を賄う規模の発電を行っています。
今後はこのシステムをレベルアップし、電力網の整備が難しい辺境地域においても、バイオマスを用いたエネルギー事業モデルの構築を関連会社とともに目指してまいります。
万博のBLUE OCEAN DOMEでは、海洋プラスチック汚染を主要テーマに展示を行いました。廃棄プラスチックの再資源化や漂着した海洋プラスチックの再利用、プラスチックの薄肉化など、資源の効率利用に取り組んでいます。
今後も、お客様にもこれらの取り組みへのご理解をいただきながら、省プラスチック、リユース、リサイクルされた商品の普及と、資源循環型社会への展開を目指します。
(4)健康ビジネスの推進
1995年に発売を開始したカロリーゼロの植物由来甘味料「ラカント」は、ウリ科の植物「羅漢果(ラカンカ)」の高純度エキスと、とうもろこし由来のブドウ糖を発酵してつくられる甘味成分「エリスリトール」、2つの素材からつくられたカロリーゼロの植物うまれ甘味料です。糖尿病の方やダイエット等の健康志向の高い方をはじめ、幅広い層の方にご愛用いただいています。
2018年にはアメリカ市場の開拓を目的にユタ州に工場を設立し、ラカントおよび関連商品を海外に展開しています。
2026年5月には、ユタ州において優れた個人、企業、団体を表彰する「ベスト・ステート・アワード」を受賞し、アメリカ市場でも順調に支持を得ています。
ラカントビジネスにおいては、お客様に糖尿病の方も多いことから、血糖値や心臓・血管リスクの早期診断「ViewWave」や、レシピ開発など健康改善のためのプログラム開発も推進しています。あわせて、「ラカント」ブランドの、アメリカをはじめとするグローバル展開に挑戦しています。ヨーロッパでは、2026年度に羅漢果抽出物が食品添加物として認証される予定で、それに備えても現在準備を進めています。
健康ビジネスにおいては、引き続き食品の開発(食物繊維・タンパク質・脂質)、腸活対策、熱中症対策、オーラルケアに取り組みます。
また、正しい知識の普及や、新しいボディアセスメント(健康診断)の手法の開発、知識の普及にも、積極的に取り組みます。
(5)ブルーオーシャン・プロジェクト
万博のBLUE OCEAN DOMEでは、海の課題について世界の方々と議論し、その対策について協議しました。海の問題は、プラスチック汚染だけでなく、気候変動による異常気象や生態系の変化、具体的には魚の漁獲不足やサンゴ・海藻の減少など、多岐にわたっています。
これらの課題は、一国や一企業だけで対応できるものではありません。しかし、小さくとも具体的な行動を重ね、ビジネスを通じて問題を共有し、それぞれの立場で対応を進めることによって、持続可能な海の実現に向けて大きなうねりを生み出すことを期待しています。
サラヤでは、「ブルーオーシャン・プロジェクト」の取り組みを加速させていくため、①対馬プロジェクト、②国内各地のプロジェクト、③モロッコ・モーリタニアの支援、④海洋プラスチック回収船の建造、⑤新しいコンセプトの持続可能な漁業を目指す「ブルーコースター」の開発を進めてまいります。さらに、新たな日本のコールドチェーンの確立や、冷蔵・冷凍技術の開発・活用による地方創生にも力を入れていきます。
ブルーオーシャン・プロジェクトは、サラヤの新たな事業展開として、国内外のパートナー、社員を募集しています。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。
(6)中之島クロスでの再生医療・健康長寿の推進
中之島クロス(Nakanoshima Qross)は、大阪の中心に位置する再生医療の研究と臨床を併せ持つ医療拠点で、多くの企業が入居しています。サラヤも研究拠点を設置し、医療法人サラヤ健育会を窓口に、再生歯科や、がん・泌尿器系の再生クリニックの設立を検討しています。
今後は健康長寿(ロンジェビティ)の実現を目的とした研究拠点化を目指し、エビデンスに基づくさまざまなヘルスケアプログラムの開発を進めてまいります。
また、細胞保存液の「SOFORO Cryo(ソホロ クライオ)」の販売や、株式会社マトリクソームとの連携により、細胞培養用培地の開発・販売も展開します。関西は世界的なバイオクラスターの集積地であり、日本の再生医療および健康長寿の実現と地域創生に向け、産業育成を推進してまいります。
(7)会社のガバナンス強化策
当社には、海外および国内の関連会社がそれぞれ20社を超えています。これらのガバナンス強化のため、ITやAIを積極的に導入し、システム整備を進めてまいります。また、これらの組織ネットワークを活用し、新たな付加価値創出のプラットフォーム構築も推進します。
(8)未来への展望
国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は2030年に達成期限を迎えますが、私たちの住むこの星・地球の持続可能性には大きな疑問が残ります。気候変動や生物多様性の減少、海洋汚染、資源枯渇など多くの課題に対して、イノベーションを生み出し、具体的な解決策を模索し続けなければなりません。一企業の取り組みは小さなものですが、変化を積み重ね、大きなうねりをつくり、世界を変えていくことを願います。
特に、戦争や分断、対立、格差といった社会的問題に対しては、お互いの理解を深め、独占や排除をなくし、豊かな未来を築く努力を続けなければなりません。
サラヤは、世界の衛生・環境・健康の向上に貢献してまいります。
衛生の改善
途上国の衛生に貢献する
世界では1日約16,000人もの5歳未満の子どもたちが命を失い、その原因の多くは予防可能な病気です。石けんを使って正しく手を洗うことで、下痢性疾患や肺炎を予防し、100万人もの子どもたちの命が守られると言われています。ウガンダでは手洗い普及活動、院内感染の予防、妊産婦と子どもの死亡率低減のためのプロジェクトを推進しています。
医療衛生
感染症のリスクに備えた商品とサービスの提供
医療関連感染予防のための、商品やサービスを開発します。近年は、手指消毒剤に加えて、医療器具の洗浄剤「パワークイック」、環境消毒剤、PPE、そして過酸化水素ガス滅菌器「ステリエース100」など、多岐にわたる商品とサービスの提供を行っています。また、福祉分野では、感染予防に加え、栄養改善などによる、総合的なアメニティの向上を目指します。
公衆衛生、食品衛生
感染症の予防と健康づくり
きれいで快適なトイレのための商品やサービスの開発・販売を通して、トイレアメニティを推進しています。また、インフルエンザ、ノロウイルスなどの各種感染症に対して、正しい知識と予防の対策がとれるよう、商品とサービスの開発・販売を進めています。近年は栄養改善や口腔衛生を通じて病気を予防することも目指し、積極的にスポーツや美容を通じて健康的な生活づくりをご提案しています。
フードバリューチェーンの構築
急速液体凍結機ラピッドフリーザーの技術を活かし、国内外で農水産業と加工・販売を一体とする6次産業化や、流通を含めて適切な管理を可能にするフードバリューチェーンの構築に取り組んでいます。食品衛生を支えるよりよい洗浄剤や消毒剤の開発・販売、各種ディスペンサーおよび衛生機器や冷蔵・冷凍機器の開発・販売、食品衛生やサービスに係るソフトの提供と教育などを通して、食に関わるビジネスに貢献します。
環境配慮
持続可能な原料調達と地球環境の保全
地球環境の保全および気候変動への対策と持続可能な原料調達の実現を目指します。マレーシア ボルネオ島では生物多様性の保全に取り組み、持続可能なパーム油を活用したRSPO認証製品の開発も推進しています。エジプトでは砂漠の緑化についての研究を進めており、乾燥地帯でも育つホホバの苗を植え、その種子から高品質なホホバオイルを抽出して商品へ応用しています。
自然派のコンシューマー商品
安心・安全な自然派の商品をお届け
手洗い用「シャボネット石けん液」は1956年から、また「ヤシノミ洗剤」は1971年から続いているロングセラーの自然派商品です。現在は次世代型洗浄剤ブランド「ハッピーエレファント」も展開しています。さらに、「アラウ.」「アラウ.ベビー」などの無添加石けん、「ココパーム」「ラクトフェリンラボ」などの自然派化粧品も加えて、お客様に安心・安全な商品をお届けします。
食を通じて健康を維持
商品開発からサプライチェーンまで
羅漢果の生産地に自社工場を持ち、世界水準の品質管理と安定供給を行っています。ロカボな健康生活に役立つ「ラカント」「ロカボスタイル」、積極的な食生活の改善に「ニュートリション食品」とラインナップを充実させ、ひろがる食へのニーズにおこたえします。新しく東京にオープンしたCafe&Dining「神宮前 らかん・果」はラカントのアンテナショップとして魅力を発信しています。
