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セーブ・ザ・チルドレンへの支援

2019年(SC)の活動報告

ウガンダにおける南スーダン難民支援事業

1.事業概要

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2016 年よりウガンダ共和国(以下ウガンダ)で南スーダン難民支援事業を実施しています。ウガンダ北西部アルア県(3 ヶ所)、アジュマニ県(3 ヶ所)、キリヤンドンゴ県(1 ヶ所)の難民居住区合計7 ヶ所において、主に南スーダン難民の子どもたちを対象に、特に脆弱な状態に置かれた子どもへの個別支援を行っています。また、子どもたちが安全・安心に過ごすことができる場所として「こどもひろば」の運営を行うとともに、「こどもひろば」を拠点として、就学前教育支援および栄養・保健支援を含む子どもの総合的な発達のための包括的な支援を実施しました。

「こどもひろば」の活動運営

「こどもひろば」の運営

「こどもひろば」は、避難生活を送る子どもたちが安心、安全に過ごすことができる場所として、各難民居住区に設置されており、研修を受けたボランティアが活動を率いています。年齢ごとの発達段階を考慮しながら、サッカーや椅子取りゲームなどの体を動かす活動、お絵描きや読み聞かせ、ディスカッションなど、室内外のスペースを利用した活動を実施しました。

また、「こどもひろば」を利用して「アフリカ子どもの日」「国際ガールズ・デー」などに合わせたイベントを実施し、子どもによるダンスや劇を通して、子どもの権利に関するメッセージをコミュニティに向けて発信しました。


「スポーツ・デー」のイベントで、伝統的ダンスを披露する子どもたち

ピア・グループの活動支援

ピア・グループは、「こどもひろば」に参加する12 歳から17 歳の子どもたちから構成され、子どもたち自身による子どもの保護の促進と平和的共存を目的に、様々な活動を計画、実施します。
虐待や飲酒、暴力などコミュニティにおける課題と解決策を話し合ったり、歌やダンスを通して他部族との共存を促進する方法を話し合ったりしました。

就学前教育プログラムの実施

就学前教育プログラムの実施

ウガンダの初等教育は英語で行われており、異なる言語を使用する難民の子どもたちの中には、小学校に入学しても勉強についていけず、学校に行くのをやめてしまう子どもたちもいます。子どもたちが困難なく初等教育に進むことができるよう、主に3 歳から6 歳の子どもたちに対し、ボランティアが、小学校入学に向けての基礎となる読み書きや算数の授業を行いました。

また、挨拶や手洗いといった日常生活の基礎についての学習の機会を設けました。子どもたちや保護者が小学校入学にあたり抱える不安などを解消し、入学への準備ができるよう、小学校の見学や保護者への説明会なども実施しました。その結果、約91%の子どもたちが小学校に進学することができました。


就学前プログラムボランティアが、プログラムを修了した子どもたちの就学状況をフォローアップする様子

「こどもひろば」運営委員会の活動支援

就学前教育プログラムに参加する子どもたちの保護者を中心とする「こどもひろば」運営委員会は、就学前教育プログラムを子どもたちにとってより価値の高いものにするために、プログラムの改善計画を立てたり、また、子どもたちに給食を提供するための食材を募ったり、小規模の資金を集めて日よけを購入するなど、自主的な活動を行いました。
委員会メンバーへの研修や定期会合を行うことで、子どもたちへの活動が継続的にコミュニティによって行われていくための支援を行いました。

保健・栄養支援

「母と子のためのスペース」における乳幼児の栄養支援

「こどもひろば」の敷地内に、安心・安全な環境下で母親が授乳できる「母と子のためのスペース」を設置し、栄養指導カウンセラーやボランティアが、母親や妊婦に対し、母乳育児や乳幼児の栄養に関して相談を受けたり、乳幼児の栄養状態のアセスメントを行ったりしました。アセスメントの結果、医療介入が必要なケースについては保健機関につなぎ、フォローアップを行いました。
また、同スペースでは、妊娠中・授乳中の母親に対して、栄養指導カウンセラーが定期的な栄養セッションを実施しました。特に乳幼児の栄養改善には、衛生環境習慣の改善が大きく関わることから、石鹸を用いた正しい手洗い方法や衛生行動の指導を行いました。さらに、安価に手に入る食材で栄養価の高い食事を調理する方法を伝えるために、調理デモンストレーションを行うことで、正しい知識のもとに母親たちが子どもたちの健康を守ることができるよう、支援しました。


「母と子のためのスペース」を利用し、栄養指導ボランティアが母子に対する栄養指導を行う様子

保健サービスの提供

保健施設までの距離がありアクセスが難しい母子のために、毎月3 日間、「母と子のためのスペース」を利用し、保健施設による出張診療を実施しました。妊産婦の産前・産後健診や、母子に対する栄養補助剤や虫下しの処方、予防接種、マラリア検査や治療などを行うことで、基礎的な保健サービスを提供するとともに、この機会を利用し定期的な健康診断や適切な衛生習慣の重要性に関する啓発を行い、母子の健康の促進に貢献しました。

上記の活動の中心となった、「こどもひろば」やその中の「母と子のスペース」に、石鹸や手指消毒液を設置することで、利用者の衛生状態を保ち、また、衛生指導もあわせて実施しました。

ウガンダでは現在、隣接するコンゴ民主共和国からの難民が居住する西部において、コンゴ国内で流行するエボラ出血熱の感染者が2019 年に2人確認されており、南スーダン難民が居住する北西部においても、より一層の注意が必要な状態にあります。施設を利用する子どもたちや母親、ボランティアなども含め、個人衛生の管理を徹底することで、子どもたちはより安心して活動に参加することができています。


調理デモンストレーションでは、手洗いの重要性など衛生習慣についての啓発も行いました

5.今後について

南スーダン国内は、2018 年8 月に和平合意が結ばれて以降も依然として不安定な情勢が続いており、難民が安心して帰還できる状態ではありません。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、⾧期化する避難生活においても子どもたちが健やかに成⾧していくことができるよう、引き続き、包括的な支援を実施していきます。

本事業期間においては、特に、上述の「こどもひろば」運営委員会による子どもたちのための活動の支援が活発になったり、子どもの保護委員会のコミュニティにおける活動が継続的に行われるなど、コミュニティの人々のイニシアティブが育っていることを確認することができました。