2017年(SC)の活動報告
洪水頻発地における防災、 保健衛生リスク軽減事業
1.事業概要
2015年度に引き続き、ウガンダ共和国(以下ウガンダ)で実施されている防災事業にて活用いたしました。1年目は、コミュニティ内の防災体制を立ち上げ、災害時の対応や日頃の防災対策に関する活動を中心に実施しましたが、2年目の今年度は、地域の防災体制を通じて、1年目に導入した住民参加型の活動の定着・浸透を図るとともに、災害被害を減らすための減災活動、そして、防ぎえない気候変動/災害への適応を促す活動を実施しています。
2. 背景:事業地について
事業対象地はウガンダの西部にあるカセセ県カルサンダラ準郡(人口約1万3千人)です。
雨季に洪水が頻発するカセセ県の中でも、河川下流域の平地にあたるカルサンダラ準郡では、洪水が起きると水が数か月にも渡って滞留することもあります。そのため、洪水がもたらす農作物への悪影響や衛生環境の悪化はより深刻なものとなります。
また、近年、気候変動の影響を受け、洪水が雨季ごとに発生したり、被害者も出るなど、洪水の頻度、深刻度ともに増大していると言われます。さらに、従来の雨季・乾季の周期が崩れるなどしており、洪水が頻発・深刻化する一方、干ばつにも悩まされる地域です。
このような災害が子どもたにもたらすリスクは多岐にわたり、例えば農作物の不作が家庭の食事にもたらす影響に起因する栄養不足、洪水や大雨後の滞水による衛生環境の悪化、それに伴う下痢やコレラなど水系感染症のリスクなどが挙げられます。さらに、不作により家計が圧迫されると、子どもも家の仕事を手伝うために学校を休んだり、それを機に退学するケースが出てきます。
このような状況を受け、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2015年2月より、この地域の村や学校を中心としたコミュニティが災害に備え、対応する能力を高める防災事業に取り組んでいます。
今年度は、2015年より開始した村々の災害対策委員会や対象校の防災クラブの働きや仕組みの定着、また災害の対応に向けた活動のみではなく、より積極的に減災に取り組んだり、災害の起きやすい環境条件に適応していくための発展的な活動を実施しました。
また、保健衛生リスク軽減のための活動として、昨年導入した浄水フィルターの使用状況についても引き続きモニタリングを行い、フィルターの適切な使用の定着と、学校における安全な水の利用が確保されるようにしました。
3.活動報告
減災活動:洪水発生リスク、洪水被害を緩和するための河川流域管理活動支援
洪水の発生する川は、雨季の速い流れやこれまでの洪水によって、川床に石や砂が溜まったり、流水によって岸が削られ流れの方向が変わったり、水流が速まる部分ができたりしています。さらにこれらが重なることで、河川が蛇行してしまい、洪水が発生しやすくなったり、乾季には河川が干上がるリスクが高まります。
河川の清掃
当事業の支援により、住民が河床に溜まった泥や流木を取り除く、定期的な河川の清掃活動を開始しました。直接川が走っていない村の住民も意義を理解し、川の流れる村の定期清掃に参加しています。
河道を修正する工事の様子
コミュニティによる河道強化・修正工事
ショベルやツルハシ、金網等の簡単な資器材の提供と住民への技術指導を通じて、住民が曲がってしまった河川を直線的に繋げるための工事を行えるよう、支援しました。
コミュニティ活動、啓発
危険度の高い川岸における耕作を避けるよう啓発を行うと共に、耕作可能な区域の特定や準郡行政による条例化を促進し、また川岸に草木を育てることで護岸も進めました。
適応活動:災害/気候変動に生活・ 生業を適応させるための農業支援
住民にとって災害の農作物への影響が深刻な課題となっています。減災活動で災害が完全になくなるわけではなく、慢性的に繰り返される災害を前提として生業を見直す必要があります。
モデル農家グループへの新しい農法の導入
事業地域では、基本的に天水に依存した農業を行っていますが、長期化する乾季、また不定期な季節の入れ替わりにより、これまで以上に天水による農業が難しくなっています。そこで、川沿いの村に小規模灌漑を導入しました。また、これまで取り組んできた農業を基本として、植え付けの方法を効率的にするなど、収穫量を上げるための農法を導入しました。
種まき前の準備の様子
学校での菜園活動
事業対象の全8校において、農家グループ同様の農法を用いた菜園活動を開始しました。学校菜園は、生徒自身が体験を通じて知識や理解を得る場であることに加え、保護者らの活動参加や地域住民に向けた見学会などを通じて、導入農法のショーケースの場としても機能していきます。
先行事業で導入した浄水器の使用・管理に関するフォローアップ活動
事業地では、家庭も学校も地域に設置された井戸や川・沼の水等を利用しています。これらの水を飲む時には、煮沸消毒が必要ですが、煮沸を省略したり、煮沸時間が充分でない場合、水系感染症のリスクが上がります。洪水時には、滞水によってさらに水質が悪化します。そこで、事業対象の全8校にセラミック製フィルターを用いた浄水器を導入しました(2015年度事業にて購入)。
各学校で決めた方法に基づいて浄水器を管理
使用状況のモニタリング
学校によって、教室の後ろに並べたり、日中は外に並べて出したりと、それぞれの方法で浄水器を設置・管理しています。ボランティアが定期的に訪問し、問題の発生の有無や適切に使用されているかを確認しています。
学校を訪問すると、当番の子どもがフィルターの掃除を行っているのを見かけたり、「放課後のサッカーなどの外遊びでも、喉の渇きを気にせず思いっきり遊べるようになった」といった声も聞きました。どの学校も、安全な水が手に入るようになって、大変喜んでいます。
保健衛生、浄水器に関する再研修
浄水器の日常の維持管理は簡単なものですが、その方法について、学校の集会等の機会を使って研修を行いました。併せて、正しい手洗いの方法など、日常での適切な保健衛生習慣に関しても、繰り返し取り上げました。
防災研修の中で保健衛生に関する内容も取り上げた
水と浄水器に関する調査
調査では、浄水器導入前後を比べるとともに、先行して浄水器を導入した学校と、追って導入した学校と導入時期の異なるグループを比べました。事前調査では、学校では、飲用に煮沸するなどの処理を行っておらず、安全な水を提供できている学校がないことが確認されました(家庭でも煮沸処理をする家庭は56%に限られ、煮沸をしない一番の理由は「煮沸の燃料がないため」でした)。
水衛生に関するクイズでは、先行して導入した学校と追って導入した学校とで、正解率に差ができ(先行して導入した学校で正解率が上昇)、集会等の限られた時間内に簡易な情報を提供するだけでも、子どもたちの水衛生に関する知識取得に繋がっていることがわかりました。
5.今後の展望
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、今後も当事業地において事業を継続します。その中で、浄水器の使用状況を引き続きモニタリングするとともに、保健衛生教育や啓発活動についても、学校と協働して継続的に実施予定です。
今後も、防災事業内での様々な機会を活用して、保健衛生リスクが軽減されるよう、衛生教育を促進していきます。





