健康経営(2021年度)
はじめに
1952年、日本の赤痢患者が戦後のピークを迎えたとき、ヤシ油から手洗いと同時に殺菌・消毒ができるパールパーム石けん液と使いやすい押し出し押し上げ式せっけん液容器を考案し、販売する事からサラヤの歴史は始まりました。
手指消毒という衛生面の改善を日本に広める一つの契機にもなったサラヤの商品づくりの源流は途絶えることなく、2022年に70年の時を迎えました。
自然由来の原料から、社会の衛生環境を改善していく独自の商品を生み出し、人々の健康な生活に貢献していくという思いは、現在そして未来へと続く不変の精神です。
サラヤグループ健康経営宣言
サラヤは、世界の「衛生・環境・健康」に貢献することを企業理念に掲げています。
当社の従業員に対しても、当社が持つ「衛生」「健康」に対する多様なノウハウや機能を活用し、健康づくりを推進し、事業活動を通じて世界の人々の健康づくりに貢献する企業として今後の発展を目指すべく、ここに健康経営宣言をいたします。
2019年4月
サラヤ株式会社 代表取締役社長 更家悠介
東京サラヤ株式会社 代表取締役会長 更家悠介
サラヤグループの健康経営
世界の「衛生・環境・健康」に貢献することを使命としているサラヤは、これまでお客様の信用に支えられ、「衛生・環境・健康」の分野で強いリーダーシップを発揮してきました。まさに「健康」はサラヤのルーツでもあり、商品・サービス展開において主軸のテーマでもあります。同時に従業員やその家族の「健康」は会社の健全な成長を支える大切な基盤であると考えます。
さらに「健康」とは単に「病気にならない」という事だけではなく、「病気にかかっていても健やかに安心して暮らせること」でもあり、「どんな人も今より健やかな心身を目指せること」であると捉え、最終的には"人として豊かな自己の能力や個性を実現できる事"="well-beingな状態"へ導くことと考えます。
従業員一人ひとりのwell-beingの実現が、サラヤの成長を推進する力になり、そのサラヤが関わらせていただく世界の人々の「健康」に貢献できるよう「健康経営」に取組みます。
サラヤグループの健康経営×SDGs
健康経営を通じて実現したいこと
サラヤグループでは企業成長の促進のため、健康経営を通じ、従業員をWell-beingな状態へと導く環境整備を行っております。そこでその達成度合いを客観的にはかるために下記項目を定点観測することとしています。
従業員のWell-beingな状態をはかる数値とその目標値
2021年度 | 2025年目標 | ||
サラヤ | エンゲージメント | ※ | 50.0 |
---|---|---|---|
プレゼンティーイズム | 2.3ポイント | 2.0ポイント | |
アブセンティーイズム | 4.6日/人数 | 4.0日/人数 | |
東京サラヤ | エンゲージメント | ※ | 50.0 |
プレゼンティーイズム | 2.3ポイント | 2.0ポイント | |
アブセンティーイズム | 6.7日/人数 | 6.0日/人数 |
●エンゲージメントはエンゲージメントサーベイ結果において「働きがい」の偏差値を指標としています。
偏差値はサーベイ調査委託会社の指標で、この調査においては偏差値50=良と判断し把握しています。
●プレゼンティーイズムとは
職場に出勤はしている(present)ものの、何らかの健康問題によって、業務の能率が落ちている状況を指します。
ストレスチェック(標準57項目版)の「頭が重かったり頭痛がする」、「首筋や肩がこる」、「腰が痛い」、「目が疲れる」、「よく眠れない」の体調について問う設問(5項目)に対する回答の素点を元に平均値を算出し、これを指標としています。
この指標を1(体調が良い)~4(体調が悪い)のスケールに当てはめて従業員の体調の現状を測定し、数値が小さいほど(最小値1)体調が良いことを表します。
●アブセンティーイズムとは
病欠、病気休業の状態を指します。
正社員の勤怠上欠勤となっている日数の合計数を算出し、人数で割った平均欠勤日数を指標としています。
※2020年度まではエンゲージメントの把握のために、ストレスチェック結果における「健康リスク値」「働きがいの値」を指標としておりました。
※2021年度の数値はサラヤ「健康リスク値:102」「働きがいの値:2.9」、東京サラヤ「健康リスク値:96」「働きがい値:2.9」となりました。
※2022年度からはエンゲージメントをより適切に把握するために、エンゲージメントサーベイを実施し指標の見直しをいたしました。
実現に向けた取り組みについて
1. 身体の健康をサポート
1-1)特定保健指導やがん検診の推進
定期健康診断の受診率について実質100%を掲げ、また特定保健指導対象者の保健指導推進にも注力しています。
さらに再検診の通知があった従業員は、産業医の指導のもと、再検診受診までを確認し「従業員の健康管理のケア」を図っています(再検査の受診はヘルスケア休暇等を活用し受診を促しています)。
従業員だけでなく、その家族の健康も考え、婦人科がん検診についても、従業員・配偶者の方に向けて費用補助を行い、受診の促進を行っております。
※定期健康診断実質受診率100%達成(2021年度)
1-2)衛生対策商品の配布
衛生対策のトップランナーを自負するサラヤでは、従業員やそのご家族の皆様の健康を考え、感染対策として衛生対策商品を配布しています。
1-3)新型コロナウイルスワクチンの職域接種の実施(関連会社と協同実施)
サラヤでは、自社の商品・サービスにより新型コロナウイルスの感染拡大防止に努め、世界の衛生や健康に貢献しておりますが、2021年7月と8月には、従業員やその家族など、ひとりでも多くの方が一日でも早く、安心して毎日を健やかに過ごせるよう、 また、できる限り早期にコロナ前の経済活動に戻すためにも、関係会社の皆様を含めた約1600名の方に対し「職域接種」を実施いたしました。
2. 心の健康をサポート
2-1)ストレスマネジメント
職場のメンタルヘルスについては、社会の周知啓発も進むなかで、サラヤでも平成15年頃から相談受付や休職制度、メンタルヘルス支援室開設(現ダイバーシティ推進室併合)、復職支援プログラムの実施など、段階的に取り組み、着実に進展させてきました。
また新任管理職へのラインケア研修の実施やWEBストレス検査によるセルフケアの促進、その検査結果を部門レベルで分析しフィードバックするなど、メンタルヘルスの安定や職場環境の改善に役立てています。
3. 生活習慣改善サポート
3-1)食生活改善施策の実施
食生活改善に関するアンケートを活用し、食生活改善に関心のある従業員を対象に、自社開発の低糖質食品を実際に利用した「緩やかな低糖質制限」に取り組む施策を実施しています。
2019年度から定期的に実施し、下記成果を上げております。
- 2021年7月 ロカボチャレンジ実施
- 体重平均マイナス1.9㎏ 腹囲平均マイナス2.3㎝
~ロカボチャレンジャーを下記方法で応援~
・エクササイズYouTubeの紹介
・応援レシピの紹介
・LINEのグループによる交流の機会
・体重管理表の配布
・ビタレーザラボによる運動指導(一部対象者のみ)
※参加者には終了時アンケートを実施。「今後も食生活に気を付けていく」という回答100%
※満足度調査においては「とても満足した」42.9%「満足した」48.6%。
※投資費用:500,000円 対象者35名
〔使用商品〕
・サラヤ
へるしごはん/へるしごはん おいしい雑穀
低糖質スイートナッツ
・ミルネスダイナー
低糖質おかゆシリーズ
HEALTY ソイチョコ
- 2021年11月 へるしごはん美味しい雑穀おためしキャンペーン実施
- モニター期間:2021年9月~10月 24食1ヶ月間継続して食べた結果(n=50)
・モニター期間を通して、体重の変化はありましたか?
→ 減少した 56.3%
・味についてはどうでしたか?
→ おいしかった 87.5%
・お通じ改善効果を感じましたか?
→ 効果を実感した 64.6%
・これからも「おいしい雑穀」と食べ続けようと思いますか?
→ 続けたい 77.1%
3-2)運動施策の実施
無理のない運動を継続してほしいという思いから、スマホアプリを利用しいつでもだれでも参加可能なウォーキングイベントを行いました。参加者全員でどのぐらい歩けるかチャレンジしました。
- 2021年 5月
- 地球周回チャレンジ
- 参加者 260名 歩数 44,354,180歩
- 2022年 5月
- 世界遺産の旅チャレンジ
- 参加者 154名 歩数 922,922歩
3-3)健康に関する研修や情報配信
① 健康に関する研修の実施
女性のガン罹患者のトップである乳がんについて理解を深める目的で「乳がんのしこりタッチ体験」や「乳がんと検診についてのランチセミナー」を開催しておりましたが、2021年度以降はコロナ禍における感染予防からzoomによる「女性の健康応援セミナー」を実施。それにより、地域を限定することなく、全国どこからでも受講する事が可能となりました。
- 2021年 7月
- 女性の健康応援セミナー 〜女性のライフステージと健康〜
- 2022年 10月
- 乳がん検診と意義について
② 社内口腔ケアイベントの実施
口腔ケア商品の開発グループメンバーとグループ会社の歯科医師の協力のもと、自社商品「クルクリン」を様々な角度から紹介するとともに、口腔ケアに関する動画と情報配信を実施しました。イベントの締めくくりは「口腔ケアクイズ大会」を実施し、楽しみながら自社商品に関する知識を深める機会となりました。
③ 健康経営の社内PRにロゴやキャラクターを活用
健康経営を社内でPRするためにロゴを作り、2019年度以降情報配信の際に活用しております。2021年度からは「全員参加型」の健康経営をより推進するためにロゴをリニューアルしました。
さらに、健康施策により親しみを持てるようキャラクターを登場させ、生活習慣改善に関する話題やイベントの案内を行い、普及活動に努めています。
4. 賞賛しあえる風土づくり(職場における個人の尊重)
4-1)従業員表彰やコミュニケーション施策の実施
同じ職場で共に働く仲間に対しお祝いや敬意を表すことで、個人を尊重し、コミュニケーションがとりやすい職場環境づくりをサポートしています。
① 永年勤続表彰
- サラヤグループで長年勤務し続けた従業員に対して感謝の意を込めてお祝いをしております。
- 近年は企業理念でもある「健康」をテーマに副賞を設定し、より健やかに過ごせるようサポートしています。
② 子女入学のお祝い
従業員のお子さんが小学校へ入学する際にお祝いをしております。
家庭においては、お父さんやお母さんが仕事をしている会社について話す機会となっており、また社内においても同僚の子供の成長を知ることが出来る良い機会となっております。
③ ベストパーソン賞
毎年期末の時期に顕著な成果を収めた従業員を表彰する目的で実施しています。
受賞者の成果を全社で共有することで、モチベーションの向上や、自社取組に対する深い理解につながっています。
④ サンキューしよう
会社の同僚に対して感謝の意を伝える機会となるように、3月9日をサンキューの日とし、メッセージを送りあうイベントを開催。2021年は送付メッセージ数が7000件を超えるイベントとなりました。
従業員の健康を支える指標
1. 健康に対する意識改善、生活習慣の改善をはかり、適正体重維持者率の向上を目指します。
適正体重維持率 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2025年度目標 |
サラヤ | 63.7% | 64.7% | 65.8% | 63% | 65% |
東京サラヤ | 59.8% | 59.6% | 61.6% | 60.5% | 65% |
※BMIが22を適正体重(標準体重)とし、統計的に最も病気になりにくい体重とされています。25以上を肥満、18.5未満を低体重と分類しています。
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
2 . 特定保健指導の実施率を向上させ生活習慣の改善に取り組む従業員を増やします。
特定保険指導実施率 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 目標 |
サラヤ | 0.9%※ | 1.7% | 15.3% | 48.6% | 2025年度55% |
東京サラヤ | 11.8% | 19.0% | 8.1% | 4.5% | (2022年度) 20% |
※)特定保健指導実施「終了」者数で算出。
※2)サラヤでは取り組みの成果により2022年度の目標を達成いたしました。それにより新たな目標として2025年度を目標に55%の実施率を目指します。
3 . 被保険者、被扶養者のがん検診を促進し、早期発見でQOL※の向上を目指します。
検診受診率 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 目標 | |
サラヤ | 乳がん | 52.7% | 51.8% | 64.3% | 52.7% | 2022年度70% |
子宮頸がん | 60.4% | 58.0% | 69.9% | 53.0% | 2022年度75% | |
東京サラヤ | 乳がん | 37.1% | 41.3% | 49.3% | 44.6% | 2022年度60% |
子宮頸がん | 31.4% | 32.5% | 44.3% | 37.3% | 2022年度54% |
※QOLとはQuality of life(クオリティオブライフ)の略で「生活の質」「生命の質」などと訳され、身体的な苦痛の軽減、精神的、社会的活動を含めた総合的な活力、生きがい、満足度という意味が含まれます。
4. ストレスチェックの受診率を向上させ職場環境の状況を正しく把握します。
受診率 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度目標 |
サラヤ | 71.7% | 84.5% | 91.6% | 89.9% | 95% |
東京サラヤ | 76.5% | 77.5% | 90.3% | 90.6% | 93% |
5 . たばこの煙により発生率が高くなると言われている「がん、脳卒中、心疾患」の罹患を予防します。
喫煙率 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2025年度目標 |
サラヤ | 24.4% | 24.7% | 24.8% | 23.7% | 20% |
東京サラヤ | 39.4% | 39.0% | 38.2% | 35.9% | 32% |
6 . 残業が常態化している部署の確認とその改善を図ります。
残業時間 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2025年度目標 |
サラヤ | 18時間/月 | 18時間/月 | 20時間/月 | 16時間/月 | 10時間/月 |
東京サラヤ | 18時間/月 | 11時間/月 | 19時間/月 | 15時間/月 | 10時間/月 |
7. 休暇取得を促進する事で従業員の生活の充実や身体の休息を促進します。
取得率 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
サラヤ 東京サラヤ |
年次有給 | 42.3% | 53.9% | 45.2% | 51.4% |
ワークライフバランス 特別休暇※ |
50.8% | 32.1% | 36.3% | (2023年1月頃算出予定) |
※ワークライフバランス特別休暇はサラヤグループ独自の特別有給休暇です。上記取得率の算出期間は毎年11月~10月までの期間で算出します。
体制づくり
戦略マップ
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