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サラヤ株式会社は1952年の創業当時よりヤシ油に着目し、植物原料を使用した石けん・洗剤や産業衛生のパイオニアとして、一貫して「自然派のモノづくり」を続けてこられました。社会全体が科学技術を過信・偏重する時期においても植物原料にこだわり続けてきたのは、まさに慧眼と言えます。そしてこれは、創業者である更家章太会長の「人も自然の一部であり、妥協せずに品質を追求すれば、それは自然と調和する」という信念がすべての商品に反映された結果であることが、本報告書からよく理解できます。
そのことを考えれば、貴社が容器の減容化やゼロエミッションなど、環境についてきわめて多方面にわたって先進的な活動を続けて来たことは、ごく自然なことであったのでしょう。報告書についてあえて難点を言えば、活動が多岐に渡るだけに全体の構造がやや掴みにくくなっています。全体像がよくわかるように、できる限り大きな流れや総量の変化がわかるような記述が求められます。また、生産を海外へも移行しているとのことですので、集計範囲は全世界に拡張することが望まれます。 ところで、近年になって植物原料の価値が世界的に再評価されるようになり、需要が急増し、重要な原料の一つであるパーム油の生産過程において東南アジアの貴重な熱帯雨林とその生物多様性が破壊されるという皮肉な問題を引き起こしています。貴社はこの問題から目をそらすことなく、むしろ自らが責任をもって関わるべきことと認識し、ボルネオゾウ等の保全のための具体的な行動を開始していることは大いに評価されます。本報告書でもこうした背景と行動が詳細に報告されており、読者に自分たちの消費活動が遠くボルネオの野生生物の生活に多大な影響を与えていることを知らしめ、またそれを軽減するためにできることを示していることには大きな意義があります。 しかし、これによってパーム油の生産による様々な課題のすべてが解決できたわけではありません。本質的な解決のためには、サラヤの製品に使用するパーム油を持続可能なものに切り替え、業界全体もそれに従うようにリードする必要があります。
ゼロエミッションについても同様のことが言えます。廃棄物の削減など個別の課題について努力することはよく理解できましたが、どうすれば貴社の事業を持続可能なモノづくりのサイクルの一部とすることができるかについても知りたいと思います。なぜなら、そのような大きな視点から事業を捉え直し、再編することが、持続可能な社会を構築する真の責任ある企業だからです。「自然派のサラヤ」の事業が、本当の意味で自然に習い、自然と共生するビジネスとなることを切望しています。
なお、報告書の日本語のタイトルは「環境レポート」になっていますが、英語では"Sustainability Report"であり、実際に社会性についての記述もあります。特にお客様や従業員を重視している様子がよく読み取れました。 困難な課題も正面から受け止めて先進的な活動を続ける貴社が、今後さらにその事業を持続可能なものへと進化させ、持続可能な社会の構築に貢献する企業として他社をリードすることを期待しています。
※
サラヤ株式会社では、当初ココヤシの実から取れる「ヤシ油」を原料に石けんを製造していましたが、1984年から製造原料の一部にヤシ油に成分が近いパーム核油を使用するようになりました。(P22?23参照)
株式会社レスポンスアビリティ
代表取締役 理学博士
第三者意見を受けて
懇切丁寧に第三者意見をいただいた、足立博士にまず感謝申し上げます。 さて、「人生とは矛盾の連続であり、矛盾の中に、醍醐味とチャレンジがある。」と、この年になり、訳がわかったような、分からないような感想を持っています。企業においても、従業員やステークホルダーの皆様の生活や収入と深く関わりあう中で、企業の発展と利潤の追求が求められていますが、同時に環境問題への対応も大切な要素です。生きるということはエネルギーを消費することであり、事業活動ことに「モノづくり」の会社では、資源を消費し二酸化炭素を排出することは、避けることができませんが、その中でサスティナブルな行動が求められています。まさに、泥の中から蓮の花がきれいに咲くように、地球も含め、皆様がよろこぶ事業活動の中で結果を出したいものです。 当レポートは、英文名では“Sustainability Report”になっていることを、ご指摘いただいたとおり、レポートの究極の目的は、そのような矛盾点を乗り越えて、事業活動をサスティナブルにできないかと方向付け、その実現のため、一歩一歩努力をしている軌跡の報告書ともいえます。報告書の中で、全体が見えにくいとのご指摘をいただきましたが、なるほどその通りで、次回以降、さらに工夫したいと思います。 さて弊社の主要原料である、アブラヤシやその他の植物の油脂の利用における、持続可能性に対しては、RSPO(持続可能なパーム油の円卓会議)への参画や、BCT(ボルネオ保全トラスト)運動への援助を通じて、原料から製品までの流れの中で、持続可能性について検討し、具体的に行動してまいりました。さらにヤシノミ製品群の、改良や品質向上による環境負荷や二酸化炭素の削減についても、今後とも改善を継続してまいります。 また石油をはじめ各種資源が枯渇し、そのコストがあがることは、予測されますが、このような環境化にあって、自然に習い、さらに リサイクルをすすめ、究極にはゼロ・エミッションを目指し、事業自体の環境効率を向上させることは、大切なことです。またその成果は収益性の向上にも寄与するという確信のもとで、活動します。社会の仕組みが改まることの希望と相まって、弊社では、エコデザインによる商品の改良、あらたな環境関連事業の導入、製造プロセス・輸送やサービスのシステムの見直しによるエコ効率向上などについて、従業員の理解と協力のもとで、具体的に対応を進め、その活動を継続していきたいと思います。 環境問題は時間との勝負です。しかし、スピード早い運転は、企業へリスクももたらせます。またグローバルな変化の時代にあっては、競争や発展に対する企業の理念さえ見直しを求められていますが、時として方向を見失うリスクを抱えています。これらの矛盾を含む事象に対し、最善の対応ができますよう、今後ともご指導いただきますよう、よろしくお願いいたします。
サラヤ株式会社
代表取締役社長
第三者ご意見を受けて、下記事項に関して今後改善をすすめていきたいと思います。
1)
第1のご指摘は、活動が多岐に渡り全体構造がやや掴みにくくなっている、全体像がよくわかるように、大きな流れや総量変化がわかる記述が必要ということと判断します。これに関しては、来年度の「環境レポート」で全体の内容がより体系的にわかるように記述を工夫いたします。例えば、全体像に関しては、環境レポートに記載する内容の体系を冒頭に「図式的」に示し、相互関係が一覧出来る工夫をすること、総量変化については、事業拡大(従業員数の増大推移及び売上増大推移)と全社の事業活動の環境へのインパクト(CO2排出量総量、燃料消費総量、電力消費総量、廃棄物総量等々)が同じ頁で推移を対比して見られる様に紙面構成の工夫をして、事業活動と環境影響の総量の対比がわかるようにすることなどが考えられます。
2)
また、生産を海外へも移行しているので集計範囲は全世界に拡張することが望ましいとのご指摘を受けました。当レポートの中でも環境マネジメントの活動の中で一部は海外生産の影響についてふれておりますが、来年度の集計では、海外の主要生産拠点の活動実績に関しても取り入れるように集計の方法を工夫いたします。
3)
第2のご指摘は、持続可能なパーム油の使用と業界のリードをすべしということでした。弊社にその意思はありますが現実問題として、持続可能なアブラヤシプランテーションからのパーム油類を入手するルートが、現在確立出来ていないことが問題です。持続可能なパーム油類入手の方法に関しては、現在弊社が参画しているRSPO(持続可能なパーム油のための円会議)での活動も含め、原料購買ルートからもさらに検討を重ねてまいります。
4)
最後に「持続可能なものづくりのサイクルの一部」の観点から弊社事業を捉えなおし、再編する事が持続可能な社会を構成する真の責任ある企業であるとのご指摘を頂きました。 残念ながら現状では、事業の全てが持続可能なものづくりのサイクルの一部に組み入れられた状態であることの検証は出来ていませんが、事業の企画に当たって弊社は、常に「環境保全」という観点から計画、立案を行っています。例えば開発の段階からの「環境保全」の例を示しますと、近年「合成化学品」が環境ホルモン等としてごく微量で生態系に影響を与えることが懸念され、潜在的に有害な化学物質を規定して、その排出量・移動量等を公開するPRTR法(環境汚染物質排出・移動登録制度)が1999年7月に制定されました。
このPRTR法に登録されている化学物質は、極めて多岐に渡り、我々が日常生活の中で使用している合成洗剤のようなありふれた日用品にも使用されています。我々は、環境ISO活動(ISO14000)をはじめた2000年度から独自にこのPRTR対象化学物質の使用を「著しい環境側面」に挙げ、可能な限り対象の化学物質を「研究開発、商品開発」の段階で自社製品に使用回避する活動を行っています。
また、環境関連の新規事業としては、食品廃棄物のリサイクル事業、プリンターの廃棄トナーのリサイクル事業、過疎地の活性化を目指した地元密着型の食品事業等にも多くの経営資源を投入しています。 これらの事業は、経営的には現状で必ずしもプラスの効果を及ぼしてはいませんが、ご指摘の「持続可能なものづくりのサイクルの一部」としての観点からの事業を行う企業責任であるという捉え方をしております。 次年度の環境レポートでは、「持続可能なものづくりのサイクルの一部」に弊社の各事業活動がどう関わっているか全体像を解明して、将来の事業展開に備える所存です。
環境管理責任者
専務取締役生産本部本部長
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